色覚異常を補正するメガネ
色覚異常いわゆる「色弱」「色盲」を補正するメガネは、現在存在しません。(ただし、色覚異常の方の色識別を補助するメガネはあります)。
色弱や色盲はなぜ補正が出来ないのでしょう?
近視や遠視はメガネで補正できます。実は、近視や遠視の場合は目の水晶体の屈折の問題なので、屈折の異常の度合いを数字(度数)で表すことができるのです。そこで、例えば、近視の方は−2.0とか−5.0の度数のメガネを作り視力を補正しています。
ところが、色の見え方・感じ方は一人ひとりの感覚なので数値化できないのです。
「自然な色」とは何でしょうか。それは、個人それぞれの目で感じてきた色の経験値といえます。
「一般の人と同じ色」といっても、人がどの色をどのように感じているのかについては、他人には知ることができません。お互いに、「どのように見えているのか?」などと考えることもなく、例えばリンゴやトマトの色を「赤色」というのだと、お互いに申し合わせているのが「色」なのです。
この場合、リンゴの色も、トマトの色も、また郵便ポストの色も、それぞれの人が同じ系統の色に見えていれば、お互いが感じている色が違っても問題ありません。
そのために、「赤色」は、誰もが同じように見えているのだと無意識に感じていますが、実際にはだれも自分以外の色の感覚は知る由もありません。それが「色覚」なのです。
つまり、「正常の色感覚」または「一般の人と同じ色」という基準がないために、色覚異常を補正することは不可能なのです。
では、どうして色覚異常、あるいは色盲や色弱という状態が存在するのでしょう?
実は色覚異常というのは、赤色がどんな風に見えるか?緑色がどんな風に見えるか?ではなく、「赤色と緑色の違いを認識できない」症状なのです。
ですから、かつて「色盲」「色弱」といいならわされてきたのは、色が見えなかったり、色が薄く見えるという意味ではありません。特定の色について見分けるのが困難であるという意味です。
さて、このように、色覚の補正をすることは不可能なのですが、「色の識別を補助」することは可能です。
ワールドマンセルが開発したメガネレンズ『カラービュー』は、色盲や色弱とされてきた先天性赤緑色覚異常の方が混同しやすい色に対応する波長域の透過率に大きな変化を持たせています。
それによって、同じ色に見間違えやすい色を、明るさや色バランスを変化させることで識別しやすくすることに成功したのです。
カラービューは、色弱・色盲の方の「色の見分けを助けるメガネレンズ」という意味で、「色見分け補助メガネ」または「色識別補助メガネ」と呼ばれています。